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企業のサイバーセキュリティ診断 セルフチェック項目

本記事は、企業のシステム担当者向けに自社のサイバーセキュリティ対策の現状を自己診断できるセルフチェックリストを提供します。具体的な項目に沿って、セキュリティの各側面を見直し、改善すべきポイントを把握することが目的です。


セキュリティに100%はありません。いくらコストをかけて対策をしても、残念ながらインシデントが発生してしまうケースは数多あります。セキュリティで大切なことは、会社資産の優先順位を見極めることです。会社で保有している個人情報や機密事項はもちろん、ブランドなどの見えない資産、そして関係会社への信頼というものもこの中に含まれます。「当社に盗まれて困る資産はない」と言って対策を後回しにする企業もいますが、例えば攻撃対象の取引先会社の踏み台となり、結果的に多大な損害をあなたの会社がきっかけで被ってしまう可能性もあります。ベーシックな対策を一通り行い、その上で資産の優先順位を行い、重点的に対策を行う必要があります。本記事では、ベーシックな対策を行う上で、まず確認すべきポイントを5項目あげましたので、ご参考にしてください。重点的な対策については、最新の攻撃動向を踏まえ、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。



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社内ネットワークのセキュリティ基本確認

ネットワークセキュリティは企業の情報を守るための第一の防衛ラインです。自社のネットワークが適切に保護されていないと、不正アクセスや情報漏洩など重大なリスクが発生します。ここでは、ファイアウォール設定の確認やリモートアクセスの安全性、ネットワーク監視の状況など、基本的なポイントを自己診断しましょう。社内ネットワークの通信経路をすべて洗い出してみることから始めるのがよいでしょう。


ファイアウォールの設定状況

ファイアウォールは外部からの不正アクセスを防ぐ、ネットワークの「門番」のような役割を持っています。しかし、一度設定してそのまま放置してしまう企業も少なくありません。定期的に設定を見直さないと、いつの間にか不要なポート(通信の出入り口)が開いてしまい、攻撃の入口となる可能性があります。例えば、以前利用していたサービス用のポートが開いたままだったり、セキュリティアップデートが適用されていない状態が続くと、攻撃者の侵入を許してしまいます。企業は定期的にファイアウォールの設定状況を確認し、最新の状態に保つことが重要です。


リモートアクセスの安全性

在宅勤務や外出先からの業務が一般的になった今、リモートアクセスのセキュリティは重要な課題です。特にVPN(仮想プライベートネットワーク)を使った接続が安全に管理されているか、定期的に確認しましょう。VPNの設定が古いままだったり、認証が単純なパスワードだけの場合は、不正アクセスのリスクが高まります。また、VPNに接続する際の認証方法に二段階認証(多要素認証)を導入すると、セキュリティレベルを大幅に向上できます。社員一人ひとりが安全にリモート環境から接続できるよう、継続的に設定を見直し、アップデートを実施しましょう。


ネットワーク監視ツールの導入状況

ネットワーク監視ツールは、不正アクセスや異常な通信をいち早く検知し、被害を未然に防ぐための重要な役割を果たしています。もし監視ツールが導入されていなかったり、導入後のチェックが行われていなければ、攻撃を受けても気づくことが遅れ、対応が難しくなります。企業は、自社ネットワークの通信状況をリアルタイムで監視し、不審なアクセスがあれば迅速に検知できる体制を整えましょう。導入済みの場合でも、ログの定期的な確認や、異常検知時に適切に対応できる仕組みが整備されているかを確認しておく必要があります。


システム更新とパッチ管理の実施

システムやアプリケーションを常に最新の状態に保つことは、サイバー攻撃から企業を守るための基本中の基本です。古いソフトウェアやシステムには脆弱性があり、攻撃のターゲットとなります。ここでは、最新のセキュリティ更新が適用されているか、自動更新機能が適切に活用されているか、サポート外ソフトが放置されていないかなど、重要なポイントを自己診断しましょう。


OSやアプリケーションの更新

OSやアプリケーションには、定期的に「セキュリティ更新(パッチ)」が提供されます。これらの更新は、攻撃者に悪用される可能性のある脆弱性(弱点)を修正するための重要な対策です。しかし、多くの企業では業務の忙しさから更新作業を後回しにするケースもあり、結果としてセキュリティリスクが高まってしまいます。特にブラウザやメールソフト、業務システムなど、日常的に使用するアプリケーションの更新は漏れがちです。システム担当者は、各端末やサーバーの更新状況を定期的に確認し、漏れなく最新の状態を保つよう徹底しましょう。


自動更新機能の活用

セキュリティ更新を手動で行うと、どうしても更新漏れが発生しやすくなります。特に社員数が多く、管理する端末が多い企業ほど、更新漏れによるリスクが高まります。このリスクを軽減するために、自動更新機能を積極的に活用しましょう。自動更新機能を有効にすることで、システムやソフトウェアが常に最新の状態を維持でき、担当者の作業負担も軽減されます。ただし、自動更新によるシステム停止やトラブルを防ぐため、事前にテスト環境で動作を確認することも重要です。業務への影響を考慮した更新スケジュールを組み、定期的に設定を確認しましょう。


サポート外ソフトの使用状況

企業内でサポートが終了したソフトウェアを使い続けることは、非常に危険です。サポートが終了したソフトウェアには新たなセキュリティ更新が提供されないため、脆弱性が発見されても修正されることがありません。そのため、攻撃者にとって格好のターゲットとなり、情報漏洩や業務停止などの重大な被害につながります。実際に、過去にはサポート終了したOSを使用していた企業が、大規模なサイバー攻撃を受け、大きな被害を出したケースもあります。企業は定期的にソフトウェアのサポート状況を確認し、サポート終了が迫っている場合には早めに最新版への移行を進めましょう。


アクセス管理とユーザー認証の見直し

情報漏洩や不正アクセスの多くは、アクセス管理やユーザー認証が適切でないことが原因で発生しています。特に、パスワードの使い回しや簡単なパスワード、多要素認証(MFA)の未導入、アクセス権限の設定ミスは重大なリスクを引き起こします。ここでは、自社のアクセス管理や認証の状況を見直し、改善すべき点を自己診断しましょう。


パスワードの強度と運用ルール

パスワードは、情報を守るための基本的な手段ですが、多くのユーザーが覚えやすさを優先して単純なパスワードを設定したり、同じパスワードを複数のサービスで使い回してしまっています。このような状況は不正アクセスの被害を拡大する原因になります。例えば、一つのサービスが攻撃されパスワードが漏洩すると、同じパスワードを使っている他のサービスにまで被害が及ぶ危険性があります。企業はパスワードの複雑性や定期的な変更を従業員に義務付け、パスワード管理ツールなどの導入も検討することで、パスワードに関するリスクを大きく低減できます。


多要素認証(MFA)の導入状況

多要素認証(MFA)とは、IDやパスワードに加えて、スマートフォンアプリや指紋認証など複数の認証手段を組み合わせることで、不正アクセスを防ぐ仕組みです。近年では、多要素認証を導入していないサービスや企業が標的にされ、不正ログインや情報漏洩が相次いでいます。特に、重要なシステムや機密情報を扱うサービスでは、多要素認証の導入は必須と言えるほど重要な対策となっています。企業は、自社が利用しているサービスやシステムに多要素認証が導入されているか確認し、未導入の場合には早急に導入を検討しましょう。


アクセス権限の適切な設定

アクセス権限とは、システムやデータに誰がどの範囲までアクセスできるかを定めたルールです。しかし、アクセス権限が広範囲すぎたり、退職者や部署異動した社員の権限が残っていると、情報漏洩や内部不正のリスクが高まります。たとえば、業務上関係ない部署の社員が重要なデータにアクセス可能になっていると、意図しない情報漏洩につながることがあります。企業は定期的に各社員のアクセス権限を見直し、必要最低限の権限を付与する「最小権限の原則」を徹底し、退職や異動が発生した際は速やかに権限の解除・変更を行いましょう。

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データ保護とバックアップ体制のチェック

企業が扱うデータは重要な資産であり、その保護と適切なバックアップ体制は欠かせません。データが外部に漏れたり、消失した場合の損害は計り知れず、復旧にも多くの時間とコストがかかります。ここでは、データの暗号化対策やバックアップの状況、災害発生時の復旧計画が適切に準備されているかを確認しましょう。


データの暗号化対策

データの暗号化は、万が一データが外部に漏れた場合でも第三者に情報を読み取られないようにするための基本的な対策です。しかし実際には、企業内での暗号化対策が十分に行われていないケースも多く見受けられます。特に重要な顧客情報や個人情報、業務上機密性の高いデータが保存時や通信時に暗号化されていないと、攻撃者に情報を盗み見られるリスクが高まります。自社で扱うデータが適切に暗号化されているか、特にノートPCや外部への持ち出しデータ、クラウドストレージへのデータ保存については念入りに確認しましょう。


定期バックアップの実施と確認

企業活動では、サーバー障害やサイバー攻撃、操作ミスなどさまざまな理由でデータが消失する可能性があります。こうしたトラブルに備え、定期的なバックアップが不可欠です。しかし、バックアップを取っていても復旧手順が不明確だったり、データが正しくバックアップされていないこともあります。特にいざというときに復旧ができないという事態は避けなければなりません。バックアップ体制を確認する際は、データのバックアップ頻度、保存場所、復旧手順の明確化を徹底し、定期的なテストを行うことが重要です。


災害対策・復旧計画の策定状況

地震や台風などの自然災害だけでなく、ランサムウェア攻撃やシステム障害など、企業活動を脅かすリスクは数多くあります。そのため、企業は事業継続のための災害対策・復旧計画を策定しておくことが重要です。しかし多くの企業では計画が曖昧だったり、策定していても見直しや訓練が行われていないケースがあります。災害対策計画は策定するだけでなく、定期的な見直しや訓練を行い、実際に迅速な復旧が可能か確認しましょう。また、従業員全員が計画を理解していることも重要なポイントです。


従業員教育とセキュリティポリシーの整備

サイバーセキュリティを強化するためには、技術的な対策だけでなく、従業員一人ひとりの意識向上と会社全体でのルール整備が重要です。従業員が日常的に適切な行動を取れるように、定期的な教育や明確なポリシー作りを進めましょう。ここでは、研修やガイドラインの状況、インシデント対応訓練の有無を自己診断しましょう。


定期的なセキュリティ研修の実施

企業のサイバーセキュリティを守るためには、技術的な防御策だけでなく、従業員の意識向上が不可欠です。特にフィッシング詐欺や不審メールなどは、従業員の不注意や知識不足が原因で被害が拡大します。これを防ぐためには、定期的なセキュリティ研修や勉強会を実施し、サイバー攻撃の最新手口や基本的な対策方法を従業員に周知する必要があります。また、研修を一度きりにするのではなく、定期的に繰り返すことで従業員のセキュリティ意識を常に高い状態に保つことができます。自社での研修実施状況を確認し、不足していれば早めに対応しましょう。


内部ポリシーとガイドラインの明文化

企業内のセキュリティ対策を徹底するためには、ルールや対応方法を明文化した「セキュリティポリシー」や「ガイドライン」の整備が欠かせません。ポリシーが曖昧であったり、十分に共有されていないと、従業員によって対応がバラバラになり、セキュリティリスクが増加します。たとえば、個人端末の持ち込みやデータ持ち出しのルール、パスワード管理方法、不審なメール受信時の対応方法などを明確に規定しましょう。また、作成したポリシーは定期的に見直し、全社員がいつでも閲覧できる場所に公開することで、周知と徹底を図ることが重要です。


インシデント対応の訓練と実施状況

万が一サイバー攻撃を受けてしまった場合でも、迅速かつ的確に対応できる体制を整えておくことが重要です。しかし実際には、サイバー攻撃を想定した訓練が十分に行われていない企業も少なくありません。攻撃を受けてから対応方法を検討していては手遅れになるため、定期的にインシデント対応訓練やシミュレーションを実施しましょう。特に、初期対応や情報漏洩時の対処、被害状況の把握など、具体的な手順を明確にし、繰り返し訓練することで実際の攻撃時に混乱なく対応できます。自社の訓練実施状況を確認し、不十分であれば早急に取り組みましょう。


まとめ

本記事では、企業のシステム担当者が自社のセキュリティ対策の現状を把握し、改善ポイントを見つけるためのセルフチェックリストを紹介しました。ネットワークやシステムの管理状況、アクセス制御、データ保護、従業員教育など、多角的にセキュリティの現状を確認することで、今後の対策強化に役立てることができます。サイバー攻撃は日々進化していますが、基本的な対策を徹底することで、リスクを大幅に軽減できます。定期的なチェックと見直しを行い、セキュリティ対策を常に最新の状態に保ちましょう。


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