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最新のサイバー攻撃の事例とその分析レポート

セキュリティに100%はありません。いくらコストをかけて対策をしても、残念ながらインシデントが発生してしまうケースは数多あります。セキュリティで大切なことは、会社資産の優先順位を見極めることです。会社で保有している個人情報や機密事項はもちろん、ブランドなどの見えない資産、そして関係会社への信頼というものもこの中に含まれます。

「当社に盗まれて困る資産はない」と言って対策を後回しにする企業もいますが、例えば攻撃対象の取引先会社の踏み台となり、結果的に多大な損害をあなたの会社がきっかけで被ってしまう可能性もあります。ベーシックな対策を一通り行い、その上で資産の優先順位を行い、重点的に対策を行う必要があります。


本記事では、最新の攻撃事例を挙げます。最新の攻撃動向に対抗し、セキュリティ対応も日々アップデートされていますので、気になる事例がありましたら、専門家に相談しながら対策を進めることをお勧めします。




サプライチェーン攻撃の事例と分析

サプライチェーン攻撃とは、取引先や委託先などの関連企業を経由してターゲットとなる企業を攻撃する手法です。直接攻撃が難しい企業も、サプライチェーンを経由することで容易に侵入できるケースがあります。ここでは最近起きた事例を参考に、その手法や対策について理解を深めましょう。


攻撃の流れと侵入経路

サプライチェーン攻撃は、まず防御の甘い取引先企業やパートナー企業が攻撃の入口となります。攻撃者は、まずこうした企業にフィッシングメールや不正アクセスを行い、侵入を成功させます。その後、取引先の正規の通信ルートやソフトウェア更新を悪用してターゲット企業へ侵入します。特にソフトウェアの更新プログラムに不正なコードを仕込む攻撃は気づかれにくく、企業のセキュリティシステムを簡単に回避できることから近年特に増加しております。


被害拡大の背景と連鎖反応

サプライチェーン攻撃の被害が拡大する原因は、取引先企業のセキュリティレベルが十分でないことや、サプライチェーン全体で情報共有が不十分であることが挙げられます。一度攻撃が成功すると、複数の企業へ次々と攻撃が連鎖し、大規模な被害に発展します。実際、海外の事例ではITベンダーを狙った攻撃から数百の顧客企業に攻撃が拡散し、業務が停止するなど深刻な影響がありました。このような連鎖を防ぐには、サプライチェーン全体でセキュリティ基準を引き上げる必要があります。

対策の基本とパートナー連携の重要性

サプライチェーン攻撃を防ぐには、自社だけでなくパートナー企業と連携した防御体制が重要です。例えば、取引先企業に対して一定のセキュリティ基準を設け、定期的なセキュリティ監査や評価を行うことが効果的です。また、異常を検知した場合には迅速に情報共有する仕組みを整えましょう。さらに、自社内では不正な通信やソフトウェア改ざんを早期に検知するため、ログの監視体制を強化することも重要な対策となります。


ビジネスメール詐欺(BEC)の最新事例解析

ビジネスメール詐欺(BEC)は近年、企業に対して特に増加している攻撃です。企業の担当者や経営者を狙って正規の取引を装い、不正な送金や情報漏洩を引き起こします。最近の事例を元に、その巧妙な手口と対策を理解しましょう。


BECの手口と典型的なシナリオ

BECでは、攻撃者が企業の取引先や上司、役員を装った偽のメールを送ります。メールは非常に巧妙で、本物と見分けがつかないほどです。よくあるシナリオは、経理担当者に緊急の支払いを依頼するメールや、社長を装って重要な情報を送信させるパターンです。送信元アドレスも似せて作られているため、通常の目視確認では見破りにくく、被害が広がっています。


実際の被害事例とその影響

最近の日本国内でも、中小企業がBECによって数百万円の被害を受ける事例が報告されています。実際に起きたケースでは、経営者になりすました攻撃者が取引先への急な送金を要求し、担当者が確認を怠り支払いを実行してしまったというものです。金銭的な被害だけでなく、取引先や顧客からの信頼低下といった間接的な被害も深刻で、企業の経営に大きなダメージを与えています。


簡単に実施できる確認と防止策

BECを防ぐためには、まず送信元のメールアドレスを厳重に確認することが大切です。不自然な送金依頼や重要な情報提供を要求された場合は、メールだけでなく電話や直接の会話で必ず本人確認を取るようルール化しましょう。また、緊急性を強調するメールには特に注意が必要です。社内で確認手順や支払承認プロセスを整備し、複数の担当者でチェックを行う体制を構築することで、BECのリスクを大きく軽減できます。


モバイル向けサイバー攻撃事例の現状と教訓

近年、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末を狙った攻撃が急増しています。個人だけでなく企業もモバイル端末を業務に利用しているため、モバイル端末が攻撃されることで深刻な情報漏洩につながる可能性があります。ここでは最近の攻撃事例を参考に、モバイルセキュリティの基本を再確認しましょう。


スマートフォン・タブレットの狙われ方

モバイル端末は常にインターネットに接続されており、多くの個人情報や業務データを保有しているため、攻撃者の標的になりやすくなっています。攻撃の代表例としては、不正なアプリのインストールを促して情報を盗むケース、偽のWi-Fiスポットを使って通信内容を傍受する手法、SMSを使ったフィッシング詐欺(スミッシング)などがあります。特に企業で利用するモバイル端末が被害に遭うと、社内ネットワークへの侵入経路となり被害が拡大する恐れがあるため注意が必要です。


実際の感染事例と被害の実態

最近のモバイル攻撃の実例として、業務用スマートフォンに不正アプリが感染し、メールアドレスや連絡先が流出したケースが報告されています。また、海外出張中にホテルや空港の偽Wi-Fiを利用してしまったため、パスワードや業務データが盗まれ、攻撃者が企業のシステムに侵入した事例もあります。これらの被害によって企業は情報漏洩だけでなく、顧客からの信頼損失、さらには多額の補償や対策費用の負担を強いられることになります。


基本的なモバイルセキュリティ対策

モバイル端末へのサイバー攻撃を防ぐためには、基本的なセキュリティ対策を徹底することが大切です。まず、OSやアプリを常に最新の状態に更新し、セキュリティ上の弱点を解消しましょう。また、公式のアプリストア以外からアプリをインストールしない、公共のフリーWi-Fiを利用する場合はVPNを活用するなど、端末利用時のルールも整備すべきです。さらに、モバイル端末専用のセキュリティソフトやMDM(モバイル端末管理)ツールを導入し、定期的に利用状況を確認することでリスクを最小限に抑えられます。



クラウド環境の誤設定による攻撃事例

企業のシステムがクラウドへ移行する中で、設定ミスや管理不足が原因となる情報漏洩事故が多発しています。クラウドの便利さは魅力ですが、適切なセキュリティ設定が行われないと、容易に情報が漏洩してしまうことになります。


クラウド誤設定の基本的なリスク

クラウドサービスは柔軟に設定ができる一方で、設定が不十分だと意図せずに情報を外部に公開してしまうリスクがあります。特に「アクセス権限の誤設定」や「データの公開範囲の設定ミス」が多くの情報漏洩の原因になっています。たとえば、クラウドストレージに保存した機密情報がインターネット上で誰でも閲覧可能な状態になり、気付かないまま放置されると、攻撃者に情報を盗まれる可能性があります。定期的に設定を見直すことが重要です。


実際の誤設定事例と情報流出のケース

最近の事例では、大手企業がクラウドストレージの設定を誤り、顧客情報が数ヶ月間インターネット上に公開されていたという事故が発生しています。また、別の企業では、クラウド上のデータベースが認証なしでアクセス可能になっており、攻撃者によって大量の個人情報が盗まれたケースもありました。こうした事故が起きると顧客からの信頼低下や業務停止、法的な問題にもつながり、多大な損失を招いてしまいます。


正しいクラウド設定のチェックポイント

誤設定を防ぐためには、クラウドサービスの設定を定期的に監査することが重要です。まず、情報公開範囲を最小限にし、認証を厳密に管理しましょう。また、権限の付与は必要最低限とし、不特定多数がアクセスできる状態を避けるべきです。クラウドプロバイダーが提供するセキュリティ診断ツールや、外部の専門サービスを活用し、定期的に設定ミスを検知する仕組みを整備することが効果的です。


高度な持続的攻撃(APT)事例の徹底分析

高度な持続的攻撃(APT)は、長期間にわたり標的企業のシステムに侵入し、情報を盗み出す非常に巧妙な攻撃です。ここではAPTの特徴や実際の事例を分析し、被害を防ぐための重要なポイントを解説します。


APT攻撃の特徴と狙い

APT攻撃は一度侵入すると長期間にわたり潜伏し、企業の重要情報を継続的に盗み出すことを目的としています。攻撃者は標的企業を慎重に調査し、フィッシングや脆弱性攻撃などを駆使して侵入し、密かに情報を収集します。狙われるのは機密情報や技術情報、顧客データなど企業にとって最も価値が高い情報です。


企業を狙ったAPT攻撃の実例

国内外で実際に起きたAPT攻撃では、攻撃者が企業の従業員に向けて巧妙なフィッシングメールを送り、マルウェアを仕込んだ添付ファイルを開かせる手口が多く報告されています。一度感染すると、攻撃者は数ヶ月間にわたり密かに企業内ネットワークを探索し、重要データを収集します。特に製造業やIT業界、政府機関などが狙われやすく、研究開発中の技術情報や顧客情報が盗まれ、競争力を失った事例もあります。また、企業の信用を著しく損ない、法的問題や補償など、巨額のコスト負担を余儀なくされたケースも多くあります。


長期的な防御とモニタリングの重要性

APT攻撃への対応は、単発的な対策だけでは不十分です。長期的かつ継続的な監視体制を構築し、異常な挙動を早期に検知することが極めて重要です。企業は定期的にセキュリティログを分析し、不審な動きを見逃さない仕組みを整える必要があります。また、従業員への定期的な教育や訓練を実施し、フィッシングや不審な通信を素早く報告できる文化を育てることも大切です。外部専門家によるセキュリティ診断を定期的に実施することも、攻撃を未然に防ぐために有効な対策となります。


まとめ

本記事では、企業にとって特に注意すべき最新のサイバー攻撃事例を分析し、その攻撃手法と対策を解説しました。サプライチェーン攻撃やBEC、モバイル端末を狙った攻撃、クラウドサービスの設定ミス、そしてAPT攻撃など、攻撃の手法は常に巧妙化しています。しかし、基本的なセキュリティ対策を徹底し、定期的に体制を見直すことで多くの攻撃を未然に防ぐことができます。


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