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HTMLインジェクションとは?

HTMLインジェクションは、ユーザー入力がHTMLコードとして解釈され、Webページに不正に注入される攻撃です。これにより、ページのレイアウトやコンテンツが改変されたり、他の攻撃の起点となったりする可能性があります。

この攻撃は、特にユーザーの入力データをそのままHTMLとして出力するようなアプリケーションで発生しやすいです。攻撃者は、自身のHTMLコードをサイトに挿入し、その結果として、ページに不正なリンクや画像が表示されたり、フォームが改ざんされたりすることがあります。


例:HTMLインジェクションの基本的なケース

以下のようなシンプルなWebフォームを考えてみましょう。

<form action="/submit" method="POST"> 名前: <input type="text" name="username"> <input type="submit" value="送信"> </form>

このフォームの入力が次のように表示されるとします。

こんにちは、<b>{{username}}</b> さん!

ここで、usernameとして攻撃者が以下のような文字列を入力すると、どうなるでしょうか。

<script>alert('ハッキングされました!');</script>

これがそのままページに反映されると、ユーザーがそのページを訪れる際に、JavaScriptが実行され、アラートが表示される可能性があります。これが基本的なHTMLインジェクションの一例であり、適切なエスケープ処理が施されていないと、こうしたコードがページに挿入されます。



HTMLインジェクションのリスク

HTMLインジェクションにはいくつかのリスクがあります。特に以下の点が重要です。

1. ページの改ざん

攻撃者は、ページのコンテンツを意図的に変更することができます。例えば、不正なリンクを挿入し、フィッシング詐欺や詐欺サイトへの誘導を行うことが可能です。

2. XSS(クロスサイトスクリプティング)の発生

HTMLインジェクションを利用してJavaScriptコードを挿入することで、XSS攻撃が発生するリスクがあります。これにより、ユーザーのセッション情報を盗んだり、悪意のあるスクリプトを実行させたりすることが可能です。

3. ユーザー体験の妨害

HTMLインジェクションにより、Webサイトのレイアウトや機能が破壊されることで、ユーザー体験が損なわれ、サイトの信頼性が大きく低下します。

4. ビジネスへの影響

攻撃を受けたWebサイトが信用を失うことで、顧客の離脱やブランドイメージの低下につながることもあります。



HTMLインジェクションの検出方法

HTMLインジェクションを防ぐためには、まず脆弱性を検出する必要があります。以下の手法が有効です。

1. ユーザー入力の検証

入力フォームやクエリパラメータなど、ユーザー入力がHTMLコードとして扱われる部分を注意深くチェックし、意図しない入力が行われていないか確認します。

2. 自動セキュリティテスト

Webアプリケーションの脆弱性を検出するためのセキュリティスキャンツールやペネトレーションテストを定期的に実施することで、脆弱性の早期発見が可能です。

3. コードレビュー

開発段階で、特にユーザー入力を扱う箇所のコードをレビューし、セキュリティ上のリスクがないか確認します。



HTMLインジェクションの防止策

HTMLインジェクションからアプリケーションを守るためには、いくつかの対策が重要です。

1. 入力値のエスケープ

HTMLインジェクションを防ぐ最も基本的な方法は、ユーザーからの入力をHTMLとして解釈しないようにエスケープ処理を行うことです。特に、<、>、&などの特殊文字を適切に変換して、不正なHTMLやJavaScriptの注入を防ぎます。

例えば、PHPの場合、htmlspecialchars()関数を使って、ユーザー入力をHTMLエンコードできます。

echo htmlspecialchars($username, ENT_QUOTES, 'UTF-8');

2. WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入

WAFは、Webアプリケーションに対する攻撃を防ぐためのツールで、HTMLインジェクションを含む様々な攻撃をブロックするのに有効です。これにより、攻撃が検知された場合は自動的にリクエストが拒否されます。

3. 入力値の検証

ユーザーが入力するデータを事前に検証し、予期しない形式や悪意のある文字列が含まれていないかを確認します。ホワイトリスト方式で許可されたデータ形式のみを受け入れるのが有効です。

4. テンプレートエンジンの使用

HTMLを生成する際には、安全性が担保されたテンプレートエンジンを使用することが推奨されます。例えば、Jinja2(Flaskのデフォルトのテンプレートエンジン)やTwig(PHP用のテンプレートエンジン)は、デフォルトでエスケープ処理が施されており、インジェクション攻撃を防ぐのに役立ちます。



まとめ

HTMLインジェクションは、ユーザー入力が適切にサニタイズされていない場合に発生する危険な攻撃手法です。これにより、Webページの見た目や動作が改変されたり、XSS攻撃が誘発されたりするリスクがあります。Webアプリケーションのセキュリティを強化するためには、ユーザー入力のエスケープや検証、WAFの導入など、基本的な対策を徹底することが重要です。

セキュリティは単なるオプションではなく、Web開発の基本です。HTMLインジェクションのリスクを理解し、適切な防御策を講じて、信頼できる安全なWebアプリケーションを提供しましょう。

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